ラッピング! 第4話

「まって!私が……私がいけないの。だから……」

アンジェリークがオスカーに駆け寄る。そのとき ……

ぐき……っ!

鈍い音がして、アンジェリークの視界ががくんと下がる。

「アンジェリーク!」 床に倒れ伏す直前、オスカーの腕がアンジェリークを支える。

アンジェリークは最初、何が起こったのか分からなかった。

足首に鈍い痛みがある。

この日のために用意して置いた赤いパンプスのかかとがおれたのだ。

いつもはもっと低いヒールのものを履いていたのだが、ヒールの高さだけちょっと背伸びしてみたかった。

早く大人になって、オスカーさまに近づきたかった。

背伸びして、背伸びして、結局彼を傷つけて……。

「……ばちがあたったんだ……。」 アンジェリークの眼に涙がみるみる溜まっていく。

一方、オスカーはアンジェリークの涙にこれはかなりひどくくじいたに違いないと、

アンジェリークのドレスのスカートをたくし上げる。

今日のアンジェリークは黒のレースで編んだストッキングを履いていて、どの程度の傷かが分からない。

オスカーはアンジェリークの太股、ガーターベルトの所まで手を伸ばす。

「!……あ……見ちゃいや……。」 反射的にアンジェリークはスカートの裾を握りしめる。

「そんなことを言ってる場合じゃないだろう。ひどい捻挫だったら……。」

大声で叱られて(と思い込んで)アンジェリークはきゅーっと小さくなる。

「……そうじゃないの……その…… いちご だから……。」

「は?」

「だから、今日はいちご模様の下着だから、だから……」

「……見られたくなかったの……。」

顔を真っ赤にして、アンジェリークはますます小さくなった。

一瞬の沈黙 「……ぷ……っ」

 

 

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