紅の結鎖 9 夜が白みはじめる。早朝の女王宮。ロザリアとゼフェルは堅くとざされている門を開け中に飛び込む。 …二人がいた… 寝台の上、はだけた胸元もそのままにオスカーがヘッドに上半身をあずけ横たわっている。息は荒く、汗がふきだしている。そのすぐ傍らにアンジェリークが夜着のまま、心配そうに寄り添う。
「はめられたんだよ。反女王体制のテロリストか何かしらねえが、オスカーを使ってアンジェリーク、お前を狙ったんだ。心配するな。オスカーは助かる!」 …オスカーは助かる…… その言葉だけがアンジェリークの頭の中で響く。緊張がとけ、アンジェリークはへなへなと力が抜ける。そのまま、オスカーの上に覆い被さるように倒れると、気を…いや、正確には眠ってしまった。
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