ASUKA4月号 (half bitter 3)

今月はオスカー様の出番がないの。

は〜、オスカー様の出番がないと水晶球も冴えないわ〜。

一体オスカー様はどこで何をなさっているのかしら…

ここはひとつ妄想…もとい、星のささやきで

オスカー様が今何をなさっているか占うっきゃないわね!

オスカー様は一体どこにいらっしゃるのかしら…。

 

 

 

  half bitter 2を読む

「アンジェリーク考えはまとまりましたか?」
ここはリュミエール様のお部屋ね。アンジェリークはリュミ様のハープを聞きながらなにやら考え事をしていたようね。
「私…エリューシオンの民にあまり負担をかけたくないんです。そういうのって甘やかしてるって言うんでしょうか?」
「アンジェリーク…」
「ジュリアス様にもロザリアにも今のエリューシオンには欠けているものがあるって言われて…でも、それが何かわからなくって…」
(それでここに来る前にエリューシオンに降り立った。そして、そこで…あの人に…オスカー様にあったんだわ…)
あら、ASUKAの作中にはなかったけどそんなことがあったのね。ちょっと、時間を戻して水晶球でデバガメ…こほん、覗いてみましょう♪

あら〜、しばらくみない間にエリューシオンも随分発展したのねえ。風車小屋まで建って風力を扱うこともできるようになったのね。そう言えば、ここしばらくゼフェル様のお力を随分送っていたもの。そういえば、蒸気機関の開発も進んでいるようね。第1次産業革命の原動力「蒸気」を操ることができたらエリューシオンは一気に発展するでしょうね。金の髪の女王候補さんが真っ先に向かったのはその蒸気機関の工房のようね。…って、あら…そこにいらっしゃるのは…
「…!オスカー様!どうしてここに…」
「よお、お嬢ちゃん。」
先日のこともあって、アンジェリークの方はなんだか複雑な表情で固まってるけど、オスカー様の方は素知らぬ様子ね。
「いよいよ蒸気の世代にはいるな。」
「ええ、そうしたらこれまで自然の力に頼るしかなかった動力が自分たちの力で必要なだけ手に入れられるようになります。」
「たいしたもんだ。いよいよ第1次産業革命の時代だな。」

お二人の姿は工房で働く民には見えないけれど、こうだまって二人で立っているのは…気まずい、気まずいわ〜〜〜〜〜っ 機械の音ばっかり響いて……え…なんか…変な音してませんこと?

「出ようか。お嬢ちゃん。」
オスカー様はアンジェリークの手をつかむと踵を返して工房を出ようとしているわ。呆気にとられたアンジェがオスカー様に手を引かれて工房を出ると…

どぉおおおおおお…ん!

突然、爆音がして工房は跡形もなく吹っ飛んでしまった。
「水蒸気爆発だ。水は気化すると1700倍に膨れあがるからな。シリンダーが耐えられなかったんだろう。これを防ぐにはまだ開発に時間がかかるな…」
「…知ってて…こうなるって知ってて、オスカー様ここを出たんですね…」
真っ赤な顔をして、ぶるぶる震えながら抗議の目を向けているアンジェリークの顔を真っ正面から見据えると
「だったら何だ。工房の民に姿を見せて、この実験は失敗する、だから早く機械を止めろ。シリンダーに使う合金はこれを使えと渡してやれと言うのか。」
「そんなこと言ってない。でも…!」
二人が言い争う中、爆発音を聞きつけてエリューシオンの民が駆けつけてきたようね。
「大丈夫か!?よかった、まだ息はある。」
「ばかだなあ、何でこんな危険な実験ばっかり…こんなガラクタ、何の役に立つっていうんだ。今のままで何が不満だ。」
よかった、死んではいなかったようね。
「…へ…へへ…、すごい力だろう…蒸気って奴は…これを使いこなせるようになったら、すごいことができるようになる…今日の失敗で問題点がわかった。シリンダーの合金だ…次は絶対成功させてみせるぜ。」
「この大馬鹿!!」
奥さんらしき人が力一杯はたいたせいで工房長は悲鳴をあげていたけど、はあ、何ともたくましいこと。アンジェリークも胸をなで下ろしているようね。オスカー様はこ工房長にそっと近づくと…と言っても、その姿は見えないのだけれど、指先をその胸に下ろされたわ。
「失敗も死をも怖れず、真理を求める者に最大の賛辞を」
これは…とても微弱だけど「炎のサクリア」…どんな困難にも屈することのない強さ。それは小さな勲章のように頑固そうな工房長の胸に輝いていた。決して誰にも見えることがない炎の勲章のように。

「オスカー様…どうして…」
「民に発展のための力や技術を与えるのは簡単だ。危険があったらあらかじめ排除し、成功だけを与えればエリューシオンはめざましく発展するだろう。だが、それでは民の力は育たない。歩き始めた子どもが転ぶのは当たり前だ。転べば痛い。痛いから今度は上手く歩こうとする。次に転ばずに歩けたとき、それは達成の喜びとなって次の目標への力となる。」
「…私…エリューシオンの民を甘やかしていたんでしょうか…」
「いきなり高いハードルを与えても、それを乗り越えるのは難しいからな。これまではお嬢ちゃんのやり方で充分育成できた。だが、これからはすこし高いハードルを与えて見守るのも大事なことだと思うぜ。この先、蒸気機関が成功すれば、今度は社会そのものが大きく変わる。争い事もふえ金持ちとそうでないものができる。場合によっては戦争が起こるからな。」
「そんなあ。」
「それを正しく導くのがお嬢ちゃんの役割だろう。」
くすくすと面白そうに笑うオスカー様。まあ、こんな事があったのね。


リュミエール様の部屋を出たアンジェリークはなんだか吹っ切れたような表情ね。
(私…エリューシオンを甘やかしてる?ううん、甘やかしてるのは自分だ)
( 順調な時って甘いお菓子に似てる。でも、甘いばっかりじゃダメなんだ。オスカー様みたいに…)
突然、オスカー様のことを思いだして女王候補さんははっとなっているわ。
(オスカーさまって不思議…思わず目を惹かずにいられないくらい綺麗で、でも意地悪で…意地悪で…なぜだろう、とっても甘い…。ああ、以前食べたチョコレートに似てるんだわ。綺麗でほろ苦くて…でも、あとでとっても甘い…「half bitter」…)

今のエリューシオンの問題は民との望みのすれ違い。自分の思い描く理想を優先させるばかりに民の進歩の芽を伸ばせない。でも、エリューシオンの問題も解決しそうだわ。やっぱりオスカー様よね〜〜。もしかして、アンジェリークにハードルを与えている?与えるばかりが愛情ではないとおっしゃっていたけど……。オスカー様のお考えは深くていかな星のお告げでも、とても読み切れませんわ。

 

to be continued      

 

てなわけで、今月のASUKA

オスカー様はどこにいらっしゃるの〜と妄想力を高めたところ

エリューシオンにいたことが判明!(妄想よ、妄想)

だって、アンジェがいきなり大陸の問題点に気がつくなんてヘンじゃん。

きっと、オスカー様と大陸でばったり会って

こーんなやりとりがあったっていいと思うのよ。

バチはあたらないと思うのよ。

いいじゃん、妄想なんだからさあ。しくしくしくしくしく…