kiss

 

 

 ここは飛空都市。次期女王として召喚された二人の女王候補は守護聖と呼ばれる九人の男性に囲まれて試験を受けることになる。とはいうものの、お年頃の女王候補達はみめ麗しい守護聖たちにかこまれて何とも落ち着かない。特に長身で腕も立ち顔立ちも凛々しい紅い髪の炎の守護聖オスカーに女王候補アンジェリークはぞっこんである。

「オスカー様の理想の女性ってどんな方ですか?」
 部屋に招いてお茶を入れながらあくまでさりげなく、でも心臓が破裂寸前になりながらアンジェリークは尋ねた。
「やっぱりいい女だな。それと、俺はお子さまは相手にしないことにしてる。もっとも俺のことを好きになってくれる子はみんな好きだぜ。」
アンジェリークの顔色がみるみる青ざめる。(お子さま…お子さま…それってやっぱり私のこと…? )アンジェリークはオスカーがいつも一緒に連れて歩いている女性を思い出す。どの人もどの人もみんな大人で胸が大きく開いたデザインのドレスを身にまとっていた。そのデザインを引き立てるはちきれんばかりの白い胸。あんな胸の大きい女性が好きなのかと思いながら、自分の胸をちらっと見る。

………小さい………

 小さいのである。カップはAサイズ。成長期を信じていたけど一向に大きくなる気配はないまま17歳になってしまった。このまま人生最後の成長期が終わってしまう哀れなオトメの胸がキリキリと痛んだ。(何でみんなあんなに胸が大きいの!?オスカー様はきっとあんな大きな胸の人が好きなんだわ。大きい胸なんて…巨乳なんて大っ嫌いよーっ!!)

 その夜、特別寮にむかうロザリアは背後から近づく怪しい人の気配を感じていた。「痴漢…?それとも変質者?」角を曲がったところでダッシュをかける。すると「おねーさん…乳でかいわね〜。」女の声であった。「なに!いきなりお下品なことを!さっさと出てきなさい!」ひゅ〜ほほほほほほという怪しい笑い声とともに現れたのはぴっちぴちのボディスーツに身を包み、ムチと開明墨汁1ガロンを携えた謎の覆面怪人であった。しかも、その胸が強烈に大きい。1メートルはありそうだ。

 

「私の名前は巨乳ハンタアァ〜!!」

「ていっ!」
  謎の巨乳怪人のムチがロザリアの服を破り、その胸がはだけられる。つづけてどこから出したのか開明墨汁が降り注ぎ、白い紙が押しつけられると怪人…もとい、巨乳ハンターは目にもとまらぬ勢いで紙ごしに胸をお触りしまくっていた。
「きゃああ〜〜!!」
と叫びつつ、ロザリアの顔がだんだん赤くなる。ロザリアの腰が抜けたところで胸に押しあてられた紙がはがされた。
「ロザリア・デ・カタルヘナ。あなたの87センチのパイ拓は確かにいただいたわ!その乳を武器に守護聖様をたぶらかしたらこのパイ拓は余すところなく世間様にさらしものとなると知るがよい!!それでは、さらば!」
  砂ぼこりをあげ駆け去っていく怪人をみつめるロザリア
「きょ…巨乳ハンター?一体何者なのかしら…でも…ちょっぴり感じちゃったv巨乳ハンターってちょっとテクニシャンかも…v」

「オスカー、貴方をここに呼んだのは他でもありません。」
 女王補佐官ディアが曇った顔でそう告げた。
「ここしばらくこの飛空都市を騒がせている怪人、巨乳ハンターのことです。彼女は夜な夜なこの飛空都市の女性、それも巨乳…こほん、胸の大きな女性を狙って…そのパイ拓をとっているというのです。」
「…パイ拓…それはまたうらやましいような…しかし、飛空都市の女性からは被害届は一件も出ていませんが…」
「それが、巨乳ハンターはなかなかのテクニシャンらしく、被害者も半分喜んでいるとか…そこで…」
 いつも穏やかなディアの目がきらりと光る。こういう時はそう、「彼」の出番なのである。光あるところに闇がある。光の元では裁けぬ悪を闇に紛れて裁いていく、それも女性専門の仕置き人「レィプマン」の出番なのである!
「ここしばらく出動はありませんでしたが、仕方ありません。オスカー今再び闇の仕置き人『レィプマン』となって、その巨乳ハンターを仕置きしてやってください!」
「しかし、ここしばらく出動はなかったはずですが…それに、同意のない女性とするのは俺の美学に反するんですが…」
「…不満なの…?オスカー、よいですか、これは女王陛下のご意志なのです。それに、最近貴方が熱を上げているという金の髪の女王候補にあなたの隠れた仕事とお手柄を知られてもいいのかしら。」
 (ディアは本気だ。)オスカーは身震いした。いかに陛下の命令であったとしても、あの可愛い可愛い純真無垢な天使様にあの汚れた仕事を知られるわけにはいかない。それに飛空都市の女性達を虜にしているという巨乳ハンターというのにも興味がある。
「わかりました、今夜にも必ず…」

 その頃、特別寮ではアンジェリークがロザリアとお茶をしていた。
「あんまんとか言う庶民のお菓子だそうだけど、結構美味しいものね。」
「そうお?ロザリア。まだいっぱいあるからたくさん食べてね。胸の中に入れていたから…あわわ、ちょっと人肌だけど。」

 巨乳ハンターとレィプマン、決戦の夜の前の静けさであった。

つづく!  

 

 

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