「天使の告知」 第9

 

「アンジェ、サンタへの手紙は書けたんだろ。」

「はい、でもまだお渡しできません。」

アンジェはにこにこして答えます。

早いところもらわないとこちらも準備があるんだけどな、と思いつつ

そうそう催促をして疑われては大変なので

オスカーはもう少し待つことにしました。

もっとも、このお人好しのチビ天使がオスカーを疑うとはあまり思えなかったのですが。

ところが…

 

 

その夜、部屋の中でアンジェリークはぐったりと倒れていました。

小さな翼は力なく、まるでしおれた白い花のようです。

「アンジェ!!」

オスカーの声にアンジェリークはぼんやりと目を開けました。

「具合が悪いのか!?さっきまで元気だったのに、一体…。」

「…時間がきたんです。今日はお使いの最後の日ですもの。」

今日は12月21日

アンジェがオスカーに女王様からの手紙を届けるはずの日です。

「…私は陛下のお手紙を届けるために地上に来たから…

地上にいられるのは約束の日まで…。

お使いが終わらないと天使は聖地には帰れません…。

聖地に帰れないのが私たち天使への罰…

聖地にも帰れず地上にもいることができない天使は

光の粒になって消えてしまうんです…。」

アンジェリークが目を伏せると

そのまま少しずつ体が光り始めました。

小さな蛍のような光が一つ、また一つとアンジェリークの体から離れていきます。

「オスカーさま…陛下のお手紙、なくしちゃってごめんなさい…。

サンタさんへのお手紙…届けてもらおうと思ったけど

私やっぱりお使いもできないダメな子だから

サンタさん来てくれません…だから、もういいです…。

ありがとう…ごめんなさい…。」

今にも消え入りそうな声がオスカーの胸のあたりに響きました。

 

「ちがう!悪いのは俺だ!女王様の手紙は本当はここにあるんだ!!」

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