「天使の告知」 第7

 

アンジェリークはちょうどオスカーの学習机の上で入浴中でした。

洗面器のお風呂に小さく削った石鹸やハンカチを持ち込んでいます。

もちろん本を積み上げて壁を作り

オスカーからは見えないようにしてあります。

それでもオスカーが立ち上がると見えてしまうので

オスカーはベッドで寝転がっていました。

寝転がりながらオスカーは

カラスから取り返した白い珠を手の中で転がしていました。

アンジェリークにはまだ白い珠が見つかったことは話していません。

「アンジェ、このお使いがすんだら君は聖地に帰っちゃうんだよな。」

「はい、そのためにも一日も早く落とし物を捜さなきゃ。

私このお使いが最後のお使いなんです。」

もしかしたら、このお使いがすんだあと

また何かお使いに来てくれるかも知れない

と、ちょっぴり思っていたオスカーは何だかがっかりしました。

「じゃ、もし…珠が見つからなかったら…。」

「…わたし…聖地に帰れなくなちゃいます。厳しい罰があるんです。」

ちょっと失敗しただけでこんな小さい女の子が罰を受けるなんて

そんなところ帰らなければいい。

ずっとここで暮らしていた方が絶対楽しいに決まってる。

 

オスカーは白い珠をそっとズボンのポケットにしまい込んだのでした。

 

表紙に戻る 第8話 トップに戻る