「天使の告知」 第6

 

アンジェリークがオスカーのうちに来て3日がすぎました。

毎日二人はあっちこっち捜すのですが

一向に女王陛下からのメッセージをしるした白い珠は見つかりません。

さすがのアンジェリークもこのごろは少し焦ってきているようでした。

ある日オスカーは学校から帰る途中

おもちゃ屋のおじさんのどなり声を聞きました。

「この泥棒ガラス!!またツリーの飾りを盗みやがって!!」

見るといつかのカラスが

おもちゃ屋の前に飾ってあるツリーのオーナメントをくわえて

飛んで行くではありませんか。

「…もしかしたら…。」

オスカーはカラスの後を追いかけました。

 

カラスの巣は意外と簡単に見つかりました。

公園の大きな木の中に

カラスはさっき盗んだオーナメントを運んでいきます。

オスカーはカバンをほおりなげるとその木に登っていきました。

「…あった…!!」

カラスの巣の中はフォークだのねじピンだの

光り物でいっぱいです。

今はクリスマス前なのでツリーのオーナメントもいくつかありました。

その中にアンジェリークの言っていた白い珠がはいっていたのです。

光にすかすと確かにオスカーの顔が浮かびました。

「これをアンジェに渡せば…。」

渡したら…?

ふいにオスカーの胸の中にちくりと痛みが走りました。

これまで何だか胸の中に何かあたたかいものがあった気がしたのに

それが急ににしぼんでとがった針のようになったみたいです。

「これを渡したら、アンジェはお使いをすませて帰って行っちゃうんだ…。」

見えない何かがオスカーの胸を冷たくさせているようでした。

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