「天使の告知」 第3話

 

「ありがとうございます。」

危ないところをたすけてもらって

チビ天使アンジェリークはぺこりと頭を下げました。

頭を上げたとたん

「紅い髪…氷と同じ色の瞳…。もしかしてオスカーさまですか?」

「なんで俺の名前を…。」

「やったあ!きっと見つけるのに時間がかかると思って

1週間も早く来たけど、こんなに早くお会いできるなんて。

はじめまして、私の名前はアンジェリーク。

天の女王陛下のお使いで貴方にメッセージを届けにまいりました。」

面食らったのはオスカーの方です。

オスカーのうちは代々軍人で質実剛健、現実主義の一門です。

もちろん天には女王がいて人々を守っているとは聞かされていましたが

それはまあ神様みたいなものでした。

まさかこんな風によく喋り、くるくる動き回る翼の生えた女の子が

「天の女王様から自分へのメッセージ」を届けに来るとは

クリスマス前に届けられるサンタさんの手紙以上に怪しさ爆発です。

「…でも、可愛いよな…。」

オスカーはぼそっと独り言を言って、

自分の前でひたすら話し続ける現実をじっと見つめるのでした。

「それでですね、メッセージなんですけど…」

やっと本題に入ったようです。

「天の女王陛下から貴方に送られたメッセージですが

本当は12月21日にお届けするはずなんですが

ちょっとくらい早くてもいいですよね。」

「ああ、かまわないけど。」

「よかった、私っていっつも遅くなりそうで大変だったんです。

遅くなると大変な罰があるんです。

さすがにそれは受けたことはないんですけど。

それじゃ、メッセージを…」

ごそごそとポケットを探すアンジェリークの笑顔がだんだん固まってきました。

「あれ…?おかしいな。たしかにここに…。」

固まった笑顔がどんどんひきつってきます。

大きな目が更に大きく見開いて…

 

「ない…落としちゃった…!!」

 

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