「天使の告知」 第2話
「なんだ、あれ。」
赤い髪の男の子はその氷蒼の瞳を空に向けました。
一羽のカラスが小鳥をつついているのです。
よく見るとその小鳥は金色の羽をして
紅いリボンをしていました。
「…小鳥…じゃない…?」
女王陛下の手紙をたずさえて聖地を飛び出し、
お使い先の草原の惑星に着いたチビ天使アンジェリークは
とんでもない災難に見舞われていました。
カラスがちょっかいを出してきたのです。
アンジェリークの金色の髪と揺れる紅いリボンは
光り物と珍しい物が大好きなカラスの格好の獲物でした。
「いやあ、やあ!やめて、やめてーっ!!」
「女の子だ…。」
ちょっと信じられなかったのですが
カラスがおそっているのは
羽のはえた女の子でした。
カラスにさんざんつつかれて、泣いているようでした。
「よおし。」
投げた石は見事命中です。
カラスは這々の体で逃げていきます。
意地悪なカラスがいなくなってほっとしたのか
金色の小鳥…いえ、小さな女の子は羽ばたきをとめ
地上に降りてきました。