「天使の告知」 第11

 

「アンジェは…アンジェリークはどうなるんですか!?」

はっと我に返ったオスカーは女王様にたずねます。

でも、女王様の言葉はそれ以上続けられることはありませんでした。

アンジェリークの体は少しずつ少しずつ

小さな光の粒になって飛んでいきます。

小さな体がもっと小さくなって次第に闇の中に消えていこうとしていました。

 

「いやだ!こんなのはあんまりだ!

聖地にでもどこへでも行く。だからアンジェリークを…!」

アンジェリークの最後の小さな光の粒が消えたとき

暗い部屋の中にオスカーは一人座りこんでいました。

アンジェリークがいたときは確かにあったあたたかい何か。

それが感じられなくなった今、

オスカーの心の中にはぽっかりと穴があいてしまったようです。

「…本当のものなんか見えない…。」

いっそ、あれは夢だったのだと思いたい。

チビ天使も天の女王様もみんな夢で、そんなものあるはずがないじゃないか。

暗くて冷たい穴がオスカーを呑みこんでいくようでした。

その時

 

アンジェリークが消えたところに一通の封筒が落ちていました。

チビ天使が一生懸命に書いていたサンタへの手紙でした。

あけてみると

 

オスカーの目から涙がこぼれました。

消えてしまったアンジェリークの想いがあふれだし

暗く冷たい部屋を一気に満たしていくようでした。

決して見ることはできない

でも、確かになにかまぶしくあたたかい想いが満ちていく。

 

 

「アンジェリーク…なんだ、ここにいたんだ…。」

 

 

 

 

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