「ほな、かる〜くですさかい。」
…そう、かる〜くだもの、そんなの挨拶と一緒だもの。
…オスカーさまとのキスとは全然違う軽いキス…
「だめ!やっぱりそんなのできない!」
私はチャーリーさんを突っぱねた。
そのあと、どんどん涙がこぼれてきてとまらなかった。
「あ、あ、すんまへん。そんなつもりやなかったんですけど…」
あなたは悪くないの、自分がイヤなの。
他の人とキスして手に入れた贈り物をオスカー様にあげようなんて
一瞬でも思った自分がイヤ。
あの方は誇り高い方だから
そんなことをしようとした私ときっと軽蔑するわ。
「…果報もんですなあ、炎の旦那はんは。陛下にそこまで想われて。
大丈夫。旦那はん踏みとどまった陛下を責めたりしません。
正直、ほっとしました。
もし、このままホンマにちゅーしたら、あとで旦那はんに殺されますさかい。」
チャーリーさんにそう言われてちょっとだけ心が軽くなった気がした。
「今日は炎の旦那はんの大事な日でっしゃろ。これ、お売りしましょ。」
「でも…今日は持ち合わせが…」
「陛下の心意気を買わせてもらいましたんでそれと交換です。」
チャーリーさんはきれいにラッピングされた包みを渡してくれた。
でも、中身はなんなのかしら。
「中身は確か『天使の像』やったと思います。包みあけますか?」
「いいえ、こんなにきれいに包んであるのにほどくわけにはいきません。
ありがとうございます。」
「いえいえ、それじゃあお気をつけて。
せや、旦那はんたしかお屋敷の方に戻る言うてましたで。」
「本当ですか!?」
私はチャーリーさんにお礼を言うと、急いでオスカー様のお屋敷に向かった。
「…ええなあ、炎の旦那はん。
わいもあんなええ娘さんと恋に落ちたいもんや。
…あれ?この包み…しまった、間違った…!
どないしょ〜…まあ、ええか…」
☆
オスカー様のお屋敷についたときはもう夕暮れになってたんだけど、
よかったオスカー様怒ってはいないみたい。
「お嬢ちゃんを待つのは慣れっこだ。」
なんだか、安心していいんだか、悲しんでいいんだか。
オスカー様とご一緒に軽くお食事を頂いて、
そのあとお部屋にあげて頂いちゃったv
「オスカー様お誕生日おめでとうございますv」
ようやく渡せたプレゼントの包みをオスカー様があけたんだけど…
何…これ…「天使の像」じゃない。
包みから飛び出したのはその黒いレースがあしらわれた
ハンカチじゃなくてこれって「魅惑の黒レース下着」!?
「…これは…どういう意味に取ればいいのかな…?」
どっ…どういう意味になっちゃうのかしら…
目を白黒させている私を見て、
オスカー様はどうやら包みを間違えたらしいことには気づいたはずなのに
わざと聞いてる〜〜〜!!口の端が笑ってるわ〜〜っ!!
「せっかくの頂き物だか、俺が身につけるものとはどうやら違うようだぜ。」
間違えました、と正直に言おうにも
まさか公園でのいきさつを話すわけにもいかないわ。
ぐるぐる回っている私に「魅惑の黒レース下着」を手渡すと、
オスカー様ったら「これは渡し方を間違ってるような気がするぜ。
こういう物はちゃんとお嬢ちゃんが身につけた状態で渡してくれ。」
それって、それって〜〜〜〜っ
「お嬢ちゃんを待つのは慣れっこだが、チャンスは逃さない主義だ。
ここまできてまたまた待たされるのはなしで頼む。」
あああああ…、もう、断ることもできない…
私は覚悟を決めると包みを受け取った。
☆
「よく似合ってるじゃないか。」
オスカー様なんだかすごくうれしそう…
私は恥ずかしくて座りこんでるんだけど、
オスカー様がうれしそうだとちょっと安心する。
「それじゃ、早速受け取らせてもらおうか。」
…って、いきなりオスカー様が抱きついてきて…
ちょっと、オスカー様〜っ!
「この下着は俺への贈り物なんだろ。有り難く頂戴させてもらう。」
じたばたしている私の腰にオスカー様の手が伸びてきて
そのままショーツの紐まで下がるとほどき始めてる。
押さえつけられてブラのストラップは下がってくるし…きゃーっ!!

「こういうものの正式な渡し方はこうなんだぜ。」
せ…正式も何も…
「問題はどうして君が こういうプレゼントを
わざわざ包みに入れて届けたかだな。
間違ったにしても、そのいきさつを聞かせてもらいたい気がするな。」
そ…それだけは言えません〜〜〜っ!
「こういうことは身体に聞くのが一番だ。
さーて、夜は長い。ゆっくり聞かせてもらおうか♪」
あああ、どうしよう〜、ホントのことを言わずに一晩たえられるかしら
…もし、話しちゃったら…
今度はおしおきだわーっ!
END