「皆様お疲れさまでしたv」
金の髪の女王陛下は即位されたあとも守護聖様方へのねぎらいと感謝を忘れない可愛い可愛い女王陛下。
今日も今日とて執務の終わった守護聖様方をお招きしてお茶を勧めていらっしゃるのでした。
もちろん、オスカー様もご一緒で。
公務を離れているので一応プライベートなのね。
陛下のドレスは女王の正装ではなく白のワンピース、髪につけているのは白のリボンだわ。
「白のリボン…」
オスカー様が陛下の姿をぼんやり眺めているけれど、ちょっと目が遠い………!
まずいわ!オスカー様がこんな顔をなさっているときは必ず…
「オスカー、お前また昔の女のこと思い出してるだろ。」
ゼフェル様…どうしてこういう余計なときにだけ勘が働くのかしら。
そんでもって、どうしてこの場でその発言をする勘の悪さなのかしら……
陛下の方は一瞬びっくりしたようだけど、にこにこと笑っているわ。
さすがにこういうシチュエーションにも慣れたものね。
安心していいんだか、悲しんでいいんだか。
「昔の女とはとんでもない言いぐさだな。
彼女はリディアは惑星ミランドールの楽の聖女だ。
惑星が未曾有の天変地異に巻き込まれたとき、美しい歌声で人々に生きる力を与えた勇敢な女性だ。
しかも石像となったあとも、祭りの夜かの地に降臨した神秘の存在だ。」
……どうして、オスカーさまって陛下の前でも平気で他の女性を褒め称えることができるのかしら。
こういうところが謎なのよね。
「まあ、そんな勇敢な方なのですか。
オスカー様はお会いしたんですか?
そんなステキな方なら私もお会いしてみたいです。」
真剣…?真剣なの…?陛下…。
にこにこ笑って瞳をきらきらさせる陛下がもう一つ謎だわ。
「ふっくらした頬、つぶらな瞳、美しい髪、その髪を両脇に束ねる白いリボン。
まさにいまこの目の前にいるアンジェリーク。君そのものだ。
時々、あの時会った女神りディアは実は君だったんじゃないかと思うことさえある。
もっとも、君はまさに俺にとっては女神そのものなんだが。」
はあ〜〜〜〜〜。まあ、よろしいんですが…。
☆
オスカー様がちょっと席を外したとき、ゼフェル様がそっと陛下に近づいてきたわ。
「いっとくけどよ、オスカーの言ってるリディアだけどおめーとは比べようのない女だぜ。あの女、女神どころか…」
「窃盗団のリーダーなんでしょう。」
陛下、知ってらしたの?
「楽の七日間事件ですよね。うふふ、でもロマンチックな話ですよね。」
「感心してる場合かよ。」
「いいじゃないですか。こうやってオスカー様を信じ切らせてるんですもの。
オスカー様を裏切って傷つけたのならちょっと許せませんけど、
こうやって最後まで騙し通してくださるなんて、リディア様ったら本当にお上手v
それに私、オスカー様のそんなお人好しなところも大好きなんですよ。
オスカー様が女性を騙す方でなく、騙される方で良かったv」
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