DVD 邂逅

 

今日は、今日こそは届くと思ったDVD。

ところがどっこい、しまちあきの仕事が押して

DVDはペリカンが持ち帰ってしまったわ。

再配達してくれる時間じゃないし、悲しみのあまり怪しい妄想が…

(いつものことか…)

 

 

 ここは飛空都市。とはいうものの、女王試験のため急遽作り出された人口の惑星でそこで働く職員も臨時で何人も召喚されたようね。もちろん、私こと占い師のサラも女王陛下の命をうけて召喚された一人なんだけど。
 召喚されたのは守護聖様方も一緒よ。聖地を離れてここ飛空都市に執務室を構えるらしいの。なんだか、大がかりな試験になりそうね。この宇宙を支える次期女王を選出する「女王試験」は。

 あら、飛空都市から聖殿に向かう途中の公園を歩いているのは…見かけない顔ね。金色の髪に赤いリボンがふわふわ動いているけれど…あれだけ頭を動かしてきょろきょろしているってことは…
「これは、お嬢さん。もしかして道に迷ったのかな。」
 …す…すばやい…困った女性を見ると5キロ先からでもとんでくると言われている炎の守護聖オスカーさまが早速声をかけていらっしゃるわ。愛馬のアグネシカも一緒ね。もしかして本当にとんできたんじゃないでしょうね。
「見かけない顔だが、新しい職員かな。しかし、新人なら聖地から迎えが来そうなものだが。」
「……お迎えは来てくださるという話だったんですけど、どうも行き違っちゃったみたいなんです。」
 あらあらオスカーさまったら初めて声をかけるにはフランクすぎて逆に警戒されてしまっているわ。金の髪のお嬢さんったら顔がこわばってるわ。まぁ、初めて召喚されたときはそんなものよね。
「それは災難だったな…って、おや、まだお嬢ちゃんか。だったら迷子も仕方ないな。」
 オスカ−さまったら、いきなり金の髪のお嬢さんの顔を覗き込んで、きゃー大接近!大抵の女の子はこれですっかりやられちゃうのよー。なんたって、オスカーさまは美形揃いと言われる守護聖様方の中でももっとも女性を扱い慣れたさらに美丈夫ですもの、これに魂奪われない女のコはまずいないと言われるわ。ところが…
「お嬢ちゃんって…いきなり失礼じゃないですか。」
 ぴしゃり!と一言。これにはオスカーさまもちょっとびっくりなさったようね。いつもこんな風に女の子をからかっているからですよ。


「これは失礼した。ただ俺は自分の守備範囲外のお子様はお嬢ちゃんと呼ぶようにしているんだが、確かに初対面でそれは失礼だったな。お詫びと言っては何だが君の目的地まで送っていこう。」
「結構です。子供は知らない人の車に乗ってはいけないと言われていますから。」
「俺が乗っているのは残念ながら車じゃなくて馬なんだが…」
「私が言っているのは知らない人の『口車』です。」
 …なかなか言うわねぇ…この金の髪のお嬢さん。と、オスカーさまがアグネシカから降りると
「しかし、かなり急いでいたようだが、時間に遅れると困るんじゃないか?」
 っと、金の髪のお嬢さんの足が止まったわ。オスカーさまもさっきまでのからかい混じりの口調とは違うようね。
「君が困るのも気の毒だが、先方に迷惑をかけることになるといろいろ心苦しいだろう。こちらの非礼は謝るから、ここはお嬢ちゃんもおとなしく俺のエスコートをうけてもらえないだろうか。」
「……それも…そうですね。私もちょっと言い過ぎました。では、道順だけ教えてください。後は自分で行きますから。」
 

 そんでもって…聖殿の謁見の間で二人はまた出会うわけなんだけど、それはまた後の話…ちゅーかもうタイムリミットなのよ。あーん、あしたこそペリカンさんDVDとどけて〜〜〜!!