「ねえ、それってゼフェル様のこと?」
いきなりアンジェリークに突っ込まれて、ロザリアはがちゃんとティーカップを落としてしまったわ。
「な…なぜ、そこでゼフェル様が…私が好きなのは…」
そこまで話して、はっと我に返ったロザリアは
「…な…なんでもないわ…」
「えー、でもゼフェル様といい感じじゃない。ロザリアとゼフェル様って会うと必ずケンカしてるみたいだけど、仲がいいわよね〜。ゼフェル様ってなんか頭のいい不良って感じで、あんな風につっぱってるところがまた可愛いよね。きっとロザリアみたいなしっかりした女の子におしりたたかれて面倒見てほしい感じよ。今はルヴァ様に面倒かけてるけど…」
こんどはルヴァ様の名前を出されてますます混乱し始めたロザリアは話をアンジェリークに振り直す。
「もう、やめてよ。それより貴女こそオスカー様とどうなってるのよ!」
「…な…っ、な、な、何でそこでオスカー様の話が出てくるのよ。」
「なにいってるの、試験の最初の頃はしょっちゅう泣いていてはオスカー様にはっぱかけられていたじゃない。こう言っては何ですけど、結構、楽しんでるようでしたわ。」
ちょっと意地悪っぽく言うと、ロザリアはつんと横を向いてしまったわ。
(なんで…なんで、オスカー様なのよ!
ロザリアこそ…ルヴァ様にお熱っぽいけど
見た感じゼフェル様とのほうが息があってるじゃない。)
(なんで気がつかないのかしら。
ランディ様と一緒にいると安心で楽しいって
それって兄妹か友達と一緒じゃない。
好きな人にあったらそれこそ訳もなくドキドキして
腹がたったり、うれしくなったり
それが「好き」ってコトなんじゃないの!)
(ロザリアってお嬢様だから自分のことが分かってないのよ。)
(この子ってほんとに鈍感なんだから。)
乙女達のお茶会はそのあと何だか黙ったままで、でも、心の中はさわさわと波打ちながら。きらきらとした木漏れ日の中、天使たちの午後はゆっくりとすぎていくようね。うふふ、さあて、答えはどこにあるのかしら。
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