ASUKA4月号

これまで「ドラえもん最終回伝説」のごとく

 「アンジェリーク最終回伝説」がまことしやかにささやかれていたけれど

ついにこの日が来てしまったわ〜〜〜。

とはいうものの、突然、アンジェが息をしてなかったり

アンジェが女王になったりと急激な展開にまあびっくり。

ちょっと、ちょっと〜コマとコマの間に何があったっていうの〜!!

 

 

「ロザリア、すぐに来て!一緒に中央の島へ…!」
 アンジェリークはロザリアの手を引くと遊星板に飛び乗ったわ。
「これ以上待つことはできないの。一刻も早く新しい世界の女王を決定しないと…」
 アンジェリークの真剣な様子にロザリアも何があったのか察したようね。

 新世界はすごい嵐に見舞われていたわ。雲の中心にみえるわずかな光…それが中央の島。新世界と滅びゆく世界をつなぎすべてのエネルギーが集約される神聖でおそろしい場所。
「女王陛下!」
 アンジェリークが陛下を呼ぶと雲の隙間から光が差してきたわ。陛下のサクリアが届いたようね。陛下のサクリアを感じるとアンジェリークは叫んだわ。
「女王陛下…陛下は女王は選ばれるものではなく、自分の意志で選ぶものだとおっしゃいましたね。だったら私は今選びます。私はここで女王となることを選びます!」
 厚い雲の彼方から陛下の声が響くわ。
「女王は選ばれるのもでなく、自らの意志で選ぶもの…次代の新宇宙の女王は滅びかけた宇宙の生命をすべてをこの大地に根付かせることが責務。それにはとても強い意志が要求される…。そして、この新宇宙にはすでに滅びかけた宇宙から禍々しいものたちが入り込んでいるのだ。この嵐がその予兆…」
 その言葉にアンジェリークとロザリアはだまって強く頷いたわ。
「わかった…では星々を…生命を…力を…そして、この宇宙のすべてを送ろう。受け取ってみせよ、女王候補たちよ…!」

「お嬢ちゃん達が新しい宇宙の中の島へ…!?」
 王立研究員の方から事情を聞いたオスカー様の顔が少し青ざめていたわ。
( 枝には本来切り落とされても、そこから根を張り、芽を膨らませる力が備わっている。しかし、そのためには、枝は一度は枯れる寸前まで追いつめられ、それでも尚、生きたいと強くのぞんで初めて根を下ろすことができる。お前はあの金の髪の女王候補という若枝が枯れる寸前まで追いつめられても見守ることができるか…?)
先日の陛下との謁見の際、クラヴィス様から言われた言葉を思い出してなにか不吉な予感を感じていらっしゃるようね。 すると突然…

   守護聖達よ、女王候補のもとへ…!!

 陛下からの直接の心話がすべての守護聖達に伝わったわ。こんな事って初めて。一体、女王候補たちに何があったというの…!?
「アンジェリーク!」
 陛下のお言葉が終わらぬうちに、オスカー様は次元回廊に飛び込んで行かれたわ。

(世界を…感じる…)

(私は光だわ…でも、闇でもある…)

(目の前で星がひとつ滅んでいく…そして、足下で虫が誕生している…)

(すべてを感じとり…そして、その中のひとつでもある…女王であるということはこの宇宙のすべてであるということ…)

(広い…まぶしい…暗い…嬉しい…悲しい…)

 ありとあらゆる生命や宇宙の運行、そのすべてが一斉に女王候補のなかに入り込んでいくようね。これまで一人の人間として感じたり知ったりする事しかできなかった、でも、今、あまねくすべてのものを感じ取らされている。

(ああ…たくさんの光が…生命が…私の中に…新宇宙の中に入ってくる…新宇宙は私そのものだったんだわ…)

 突然

「きゃあっ!!」
 ロザリアが悲鳴を上げたわ。アンジェリークと同じように新宇宙の器として滅び行く宇宙のものすべてを受け入れていた彼女がなぜ…
「どうしたの、ロザリア!」
「…いや…嫌なモノが来る…見るのもおぞましい…あれは…なに…?」
 それは、滅び行く宇宙からくる、たとえていうなら「憎しみ」「妬み」「苦しみ」「悲しみ」…かつて辺境の神話にでてくる「パンドラの箱」から飛び出してきた災厄達のように、それらは女王候補達にまとわりついてきたわ。それは巨大なヘビのような姿をしていたり、ぎらぎらとした大きな目玉を光らせたムカデのような体をした生き物の姿をしていたりしていて、じわりじわりと二人に近づいてきたの。
『……ドウシテ、ドウシテ私タチノ故郷ノ星ヲ焼キ尽ツクシタノデスカ……』 『……アア、神トハナントムゴイ…ムゴイコトヲスル…』
 …どこかで…聞いたことがあるわ…あれは、焼き尽くされた星々の命たちの叫びと呪い。それがこの女王候補たちの精神世界では形となって古い宇宙から流れ込んで来たのね。
『焼カレタ…焼キ尽クサレタ…アノ紅イ髪ノ炎ノ守護聖…』
「紅い髪…オスカー様のこと…?」
しまったと思ったときには遅かったようだわ。アンジェリークの言葉にすでに死んだ者たちの呪詛の形骸はざっとアンジェリークの方に鎌首をあげる。
『…知ッテイルノカ…アノ悪魔ヲ…』
『アノ男ノ代ワリニ…コノ女ヲ殺ス…』
「きゃあああああぁぁぁーっ!アンジェリーク!!」
 ロザリアの声が響き渡る。
 アンジェリークは…牙をむきだした百足やヘビのようなおぞましい生き物の形をした亡者達に絡め取られてしまった……

「アンジェリーク!アンジェリーク!」
 中央の島でロザリアがアンジェの名前を叫び続けているわ。精神世界からはじき飛ばされて現実に戻ってきてしまったようね。アンジェリークは眠ったまま…そう、呼吸さえしていない。
「アンジェリーク!ロザリア!」
そこへ駆けつけてきたのはオスカー様。息をしていないアンジェリークを抱きかかえると愕然とされて、凍り付いてしまったよう。
「これが…新世界に枝を植えるということなのか…こんな状態で本当に彼女は…命を賭けるまでの意志…それが…これか…?」
「オスカー様…私たち旧世界からの災厄に襲われて…紅い髪の守護聖が故郷の星を焼き尽くしたって…この子ったら、オスカー様の名前を出してしまって それで…」
そこまで聞くとオスカー様は狂ったように叫びはじめた。
「俺か…俺なのか…返事をしろ、アンジェリーク!俺を連れて行け!俺は…ここにいる…!」


 アンジェリークは逃げることもかなわず、呪詛の固まりに取り憑かれたままぐったりと倒れてる。ブラウスが裂け、肌から血を流しているわ。
「冷たい…なにか冷たいモノが私の体にまとわりついてくる…熱い…かまれた傷が熱い…血…いっぱい流れてる…死んじゃうのかな…私…女王さまになれなかったな…」
(さあ、それはお嬢ちゃん次第だな。いずれ道を選ばなければならない日が来る)
「オスカー様… 私、何も知らなかった…世界にはこんな悲しみや憎しみ、災厄があるってことも…そう言えば、以前エリューシオンでこんな話を聞いたんだっけ…」
( この先、蒸気機関が成功すれば、今度は社会そのものが大きく変わる。争い事もふえ金持ちとそうでないものができる。場合によっては戦争が起こるからな。それを正しく導くのがお嬢ちゃんの役割だろう。)
『…痛イ…憎イ…熱イ…苦シイ…助ケテ…助ケテ…誰カ、タスケテ…』
アンジェリークに取り憑いた呪詛の声が響く。
「…この子達も苦しいんだ…死にたくなかったのにね…会いたい人もいたのにね…オスカー様…なんで…オスカー様のことばっかり思い出すんだろう、私…」
(アンジェリーク)
「…声が…聞こえた気がした…でも、ヘンなの、オスカー様は私のことは『お嬢ちゃん』って呼ぶのに…もう一度…オスカー様に会いたかったなあ…」
「アンジェリーク!!」
ほとんど返事をすることさえかなわないアンジェリークの体がふわりと浮かんで…
「オスカー様…どうしてここに…」
じゃじゃーん、オスカー様ご登場よ!
「君が…俺を呼んだ…」
オスカー様はアンジェの体にまとわりつく呪詛の魂魄達を振りはらうと、忌々しげに地面に叩きつけたわ。
「こんな…こんな目にあわせてまで…アンジェリーク、君を女王に…」
オスカー様は強く唇をかむ。氷青の瞳が血走ったようになったかとおもうと剣を抜こうと身構えられたわ。その時…
「…待って…」
アンジェリークがオスカー様のマントをつかんだの。

「待って…オスカー様…この子達を…また殺さないで…」
「……アンジェリーク……?」
「殺さないで…二度も貴方の手を汚さないで…この子達は…人なの…人間なの…辛くて、悲しくて、今のオスカー様と同じで…どうしていいのか、どこへ行っていいのかわからなくて…助けて欲しいって私にすがってくるの…」
アンジェリークはそっと百足だか何だかわからない化け物の躯にそっと触れたわ。化け物のぎらぎら光る金色の目からねっとりとした液体がながれてぼたりぼたりと落ちていく。
「…泣いてるの…?もう、泣かなくていいよ…私もどうしていいのかわからないけど…私のところへおいで…歓びも…悲しみも…憎しみも…みんな、みんな…きっと、世界のすべてのひとつ…私やオスカー様と同じ…」

 その瞬間    世界ははじけたわ。

 限りなく広く、広く、広く。

 すべての星と生命と力、旧世界のすべてをのみこんで

 そして、世界は産声を上げる。

「数値はすべて安定しています。宇宙の移動は終わりました。宇宙は生まれ変わりました。」
 王立研究院の研究員が静かにこう告げたわ。アンジェリークはゆっくりと呼吸をはじめ、静かに目を開ける。目の前にはオスカー様が…こんな表情のオスカー様見たことないわ…なんだか泣きそうな顔をしたオスカー様がいらっしゃったの。
「…オスカー様…来てくださったんですね…」
「…アンジェリーク…」
「…オスカー様に会いたかった…死んじゃうかな、って思ったら、オスカー様にすごく会いたかった…そしたら、あの子達も死んじゃう前に会いたかった人がいたんじゃないかなあって思ったの…以前おっしゃったじゃないですか、憎しみ、悲しみ…それを正しく導くのが私の役割だって…」
オスカー様はだまって、アンジェリークを抱きしめられたわ。
「オスカー様…私…女王になります…オスカー様のおかげです…」

 こうして、旧宇宙から新宇宙へすべては受け継がれていったわ。すべての星、すべての生命、すべての力、すべての人となるもの。そして、新しい女王が決定したわ……



 

      

 

は〜〜〜〜、すっごい長い星のささやきでごめんなさいね〜。

今回のASUKA、すっごい展開はやくって

これじゃあもう好きなように 妄想はたからせてねーといわんばかり

といわけで 妄想は暴走するばかりです。

いいのよ、もう 最終回なんだもん。

来月最終回なんだもん。

だから、もうどうだっていいのよ。

好きなもん描いちゃうんだもーん。

(この人…大人のくせに なに居直ってるのかしらねー。)