ハガレンは家族の物語だと思っているので、ホムンクルスとはいえ親殺しというのがどうにも納得いかん買ったんですね、心情的に。

ただ、１年半ずるずる考えてる間に、なんとなく見えてきたというか。
アニメ１期では錬金術を使って母親を喜ばせる場面があるんですが、トリシャ母さんはエドワードを誉めるんですよ。
トリシャが喜んだのは「錬金術＝ホーエンハイム」であり、息子は二人いるけれどホーエンハイムに似ているエドワードのほうをほんの少し弟より可愛がっている。
本来、年子の兄弟だったら母親が声をかける回数、母親が頭をなでる回数、そのすべてが同じでないと、本能的にそれを感じてしまう。
特に下の子ほど親の愛情のかけ方に敏感な気がする。
アルフォンスは「自分は母親が一番愛している子どもではない」と、感じていた気がする。
そんでもって兄エドワードはホーエンハイムがいなくなって後、家族を守るのは自分だと思いこみ、母親とそれとよく似た弟を溺愛する。
そんな家族関係の中、アルフォンスは母親の一番になれなかった分、兄の一番になりたかったんじゃないか？
母親が亡くなったあと、兄について回る弟は無意識に兄の愛した母親の役割を演じていたんだったら、いろんな意味で切ないなぁ…
エディプスコンプレックスをこじらせた兄とエレクトラコンプレックスをこじらせた弟の話だったらそりゃあ切ない。

ただ、トリシャがそこまで母親失格だったかというと絶対にそうではなく、父親を心から愛していて、それがトリシャの「女」の部分だとしたらそれのどこに罪があるのかと。
そこまでトリシャに完璧な母を求めるのはあまりにも酷だし、それは男の妄想「母親神話」だと思う。

それでもさぁ、やっぱり幸せになって欲しいと思うんだ。