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No.109 船幽霊 おまけ
  NAME : 霧島ちあき / TIME : 2006/06/09 (Fri) 20:52
BROWSER : Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
「おかえりなさい」
いつの頃からか、うちの副長の速水は艦にもどるたび俺にそう声をかけてくるようになった。
速水は有能な副長だ。
艦の細かいところまで気がつくし、多少、口うるさいが引くべきところはちゃんとわきまえている。
ちぃとばっか変わってる気もするが。

「速水副長は艦長に気があるんじゃないですか。」
南波の口からそんな冗談がひょいと飛び出した。
「いや、なんかときどきぼーっと艦長を見てるんで。
 副長は絶対あっち系ですぜ。
 見かけはああだけど、もういい歳でしょう。
 だってのに嫁さんどころか女の影もありゃしない。」
ばかやろ、人の女のことより自分のことを心配しろ‥といったが、南波はあれでけっこうモテる。
それより速水のほうは本当に女の影もない。
海自イチの別嬪と言われているだけあって速水はたしかに顔はいい。
女に不自由しそうには見えんが、そういうこともあるんだろうとおもっていた。
そういえば速水は以前変なことを言っていた。
俺とどこかで会ったことはないか、と。
海自でも防大でもない、もっと以前に。
(この顔だったら、一度見たら絶対忘れないだろうになぁ)
と、奴は言ったが、ばかやろ、それはこっちの台詞だ。
まぁ、俺にはそんな覚えはないし、あいつもそれ以来その話はしていない‥って、その頃からか?あいつが「おかえりなさい」とかいって俺を出迎えるようになったのは。
美人で有能だが、とにかくよくわからん男だ。
そういえば、もう一人そんな奴がいたな‥‥ 

      
         あれ?またなんとなく続いてしまった‥

   
     
     
NAME : 沙羅   MSIE 6 / WinXP
TIME : 2006/06/09 (Fri) 21:18
やた!!連載だあ〜〜〜!!!楽しみにしてます〜〜
   
     
 
NAME : 霧島ちあき   MSIE 6 / Win2000
TIME : 2006/06/09 (Fri) 21:52
ああっ、沙羅様〜!
連載と言うよりなんか時間が空いちゃっただけみたいで、結局一気に後半書き終わってしまいました。
すいません。
何はともあれ「船幽霊」完結です〜。
       
       

No.108 船幽霊5
  NAME : 霧島ちあき / TIME : 2006/06/08 (Thu) 20:21
BROWSER : Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
その夜、久しぶりに父の夢を見た。
そういえば、昔こんな夢を見ていたのだと夢の中で思った。
帽子を目深にかぶり少しくたびれた上着を着て父はこっちに歩いてくる。
俺は子供の姿で、父に向かって必死になって駆け寄る。
(お父さん、お父さん)
どうしてずっと帰ってきてくれなかったんだ、と父の上着にしがみつく。
(‥そりゃあ、お前、お前が俺を忘れたから。忘れようとしていたから)
母の葬儀の日以来、父の夢は見なくなった。
幽霊でもいいと思った父は母の方便で、自分の作り出した幻のようなものだ、そう思おうとしていた。
(‥だけど、お前はまた俺を思い出してくれたんだなぁ)
夢の中の父は大きな手で顔を上着に押し付けたままの俺の髪をくしゃくしゃと乱暴にかきまわす。
どうして忘れていたんだろう、この手の大きさを。
(本当のお前は大きくなったんだろう?
 俺が必要でなくなるくらいに。
 幽霊にできるのはここまでだ。
 もう、俺がお前にしてやれることは何もない。
 それじゃ、俺は行くから。)
(‥待って、置いてかないで!連れて行って、お父さん!)
ずっと、貴方を探していた。
だから海に出た。貴方を追いかけて‥
「しょーがねぇなぁ」
思わず俺は顔を上げる。
これまで顔を上げたらそこには真っ暗な穴のようなものがあいていて見ることができなかった父の顔。
それがいやでいつもディーゼルと煙草の匂いの上着に顔をうずめていた。
それをわすれて見上げた父の顔は
「‥艦長‥?」
いつのまにか子供の姿だった自分は今の姿となり、父と思っていた幻は艦長の姿になる。
ここは‥たつなみだ‥
「何ぼやっとしてるんだ。すぐ出航だぞ。」
「‥あ、はい、了解」
夢の中で自分の持ち場に走る。
走りながら、もう今度こそ本当にあの父の夢は見ない気がした。
父の顔はもはや空虚な空洞ではなく、幻は現実と重なった。

俺の中で船幽霊はその役割を終えたのだ。

                  【とりあえず、了】

   
     
     
NAME : 霧島ちあき   MSIE 6 / Win2000
TIME : 2006/06/08 (Thu) 18:53
明日は「船幽霊 深町バージョン」で。
そこまで引っ張るネタとも思えないけど、とりあえず萌えは吐き出さないと‥
さて、オフラインの乙女原稿に戻りまーす。

拍手ありがとうございます。
へんな更新ばっかりですみません

   
       

No.107 すごいぞ!偏光グラス
  NAME : 霧島ちあき / TIME : 2006/06/08 (Thu) 18:14
BROWSER : Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
昨日、偏光サングラスが出来上がったので受け取りに行きました。
なぜなら本日は水仕事だから。
ぎらつく太陽、まぶしい水面、照り返しがええもうゆらゆらと私を襲うため、この手の仕事の日は大抵気分を悪くする私。
しかし、今日は違う!
この偏光サングラスを装備して望むのだ!
いや、もうその威力ときたら
一定方向からの光しか受け付けないので水面の照り返しが一切見えず水中がすっきりくっきり、ええもう沈む草加少佐まで見えてしまいそうでしたよ。
すばらしい、偏光グラス!
 
 

No.106 船幽霊4
  NAME : 霧島ちあき / TIME : 2006/06/07 (Wed) 22:57
BROWSER : Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
基地の入り口ちかく、建物内に入ることはなくあまり人目につかないところで父の秘書は立っていた。
「先日の話ですがそろそろお返事をいただけませんか。」
会ったこともないどこかの代議士の娘との縁談。
妾腹であっても血縁は血縁、代議士同士のつながりを強くするのに使えるのであればどうとでも出自はごまかせるのだろう。
「その話は先日お断りしたはずですが。」
「相手の方がたいそう乗り気なのですよ。それと先生も今回の縁談を機に自衛隊勤務を辞めるよう勧めていらっしゃいます。ポストはこちらで用意いたしますから。」
平和主義を前面に打ち出している父としては息子が自衛官ではまずいというわけだ。
「こちらのほうで辞めていただくように手配することもできるのですが、できれば辞職と言うほうがなにかと円満にことは進むと思うのですよ。」
冗談じゃない、母が亡くなった時、父は自分を認知もしていなかった。
自分にはもはや家族はいない。
自分のいるべきところを探して海まで来た。
海に行けばきっと自分の居場所があるはずだという漠然とした想い。なぜなら海にはいるはずなのだから‥‥
「‥誰が‥?」
思いをめぐらせて、ふと思った。俺は誰かを探していた?
まるで幽霊のような漠然としたイメージ
母が死んで以来、見ることがなくなった夢
いや、父の存在を知って以来、打ち消しながらも心の奥底で探しつづけてきたディーゼルと煙草の匂い

「おい、速水」
背後から声がかかる。
ちょうど自分が思い描いていた船幽霊が突然声をかけてきたようで、俺は多分そのとき鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていたに違いない。
「艦長」
「なにやら込み入った話みたいだが、お前の親父にしてはなんかまだ若そうだな。貫禄もない。」
「‥これは‥私は先生の秘書で‥」
「ああ、別に紹介はいい。俺はこいつの上司で、こいつは海自をやめる気はないと言っている。だったら話は終わりだ。」
腹のそこから響く声で、艦長はいつもの如く思い切り顔を相手に近づける。
「な‥なんですか、失礼な。脅かす気ですか。これは恫喝です、表沙汰になったら‥」
「ごちゃごちゃうるせえな。表ざたにできるもんならやってみやがれ。こいつは俺の艦の副長だ。だれだろうと俺の艦の奴に手ぇだしたらただじゃおかねぇ。そこんとこわかってて言ってるんだろうな!」
艦長の大声で周囲が騒がしくなってくる。
ばらばらと駆けつけてくる足音に父の秘書はそそくさと立ち去った。
表沙汰にできないのは向こうのほうか。
ちょっと気が抜けてがくんと肩が落ちる。支えるように艦長の手が肩をつかむ。
「なんでここにきたんです?」
「なんだよ、ごあいさつだな。知るかよ、お前がすごく困ったような顔をして歩いてくから気になっただけだ。迷惑だったのか?」
艦長は不満そうな困ったような顔をする。
「いえ、助かりました。」
といって、笑って見せると、そうか、と言って艦長はほっとした顔をする。
なんでこの人に人がつくのかわかったような気がした。
なんでこの人に見覚えがあったのかわかったような気がした。
艦長からはディーゼルの油の匂いと煙草の匂いがする。

   
     
     
NAME : 霧島ちあき   MSIE 6 / Win2000
TIME : 2006/06/07 (Wed) 22:56
拍手ありがとうございました。
かえでさま>このようなすちゃらかサイトを気に入っていただけてうれしいです〜。
つれづれは本当に徒然感じていたことを書いただけなのでお恥ずかしいです。
祖母は多分祖父と会えたのだと思っています。
   
       

No.105 すごいな、ブッシュ
  NAME : 霧島ちあき / TIME : 2006/06/06 (Tue) 22:24
BROWSER : Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
★Continue

[IMG_000105.jpg ( 22 KB )]
憲法改正して同性結婚禁止だって
わー速水の人生設計が狂っていく
いや、狂ってるのは私の頭
   
     
     
NAME : 霧島ちあき   MSIE 6 / Win2000
TIME : 2006/06/06 (Tue) 22:27
ブッシュめ、支持率落ちるとこうやって人気取りに走‥げほんげほん
ま、憲法改正は無理だろうけど
   
       


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