「火曜日のごちそうはアルフォンス」後日談を、あっちょんさんから頂きました。
こっちはまぁ、おちゃらけヴァージョンだそうです。

それはそうと、スカーさんにとって大人数集めての誕生日パーティって
ある意味、罰ゲーム的な何かでは…
スカーさんってずーっと一人だったのに
いきなり大人数にかこまれてお誕生席に着席してのパーティの主役って…

ファミレスでいきなり店員さんに囲まれてバースデーソングを歌われてしまい、
周囲の人たちにくすくすと笑われているようなシチュエーション
スカーさん、そういうの絶対苦手だと思うっす!

 

 

 

たくさんの料理もすべて空っぽになり、汚れた皿が大量に残った。
ヤオ家の民は勝手に飲んで騒いで、上機嫌で帰っていった。
多分、何のパーティーかなんて考えてもいなかっただろう。
それでもみんな、楽しく笑顔で居たのでよかったと思った。
あれだけの人数の食事を作って疲れているはずのアルフォンスは、まだ家の中で動いている。
リン達を見送り、三本杉の根元の家にはエルリック兄弟とスカーだけとなった。

「アル、後はオレがやるから。お前休めよ。」
「ううん、大丈夫。兄さんこそずっとトンネル作りで疲れてるでしょ?」
「いや…オレは大丈夫だ。」
「とりあえず流しに運んで、洗い物は明日にするよ。」
「ああ、そうしろ。」

家に帰れて、アルフォンスは嬉しかった。
だから疲れていたとしても、何も苦ではなかった。

「…そろそろ俺は帰る。…世話になった。」

兄弟の会話を聞いていたスカーも、暗くなり始める空を思い席を立った。
もうここに居る必要も無い。
今日からは一人で木穴に暮らすのかと思うと、一抹の寂しさはある。
帰りを迎えるものは誰もいないと知っているから。

「おお、もう帰るのか。」

ニコニコと笑顔になるエドワード。
言葉とは裏腹に、とっとと帰れと目が物語っている。
しかし対照的にアルフォンスは顔が曇った。

「ダメだよ、スカーさん。思ってるよりも傷は深いんだよ?明日も薬を塗らなくっちゃ。」
「しかし…。」
「もう暗くなるし、しばらくはボクんちに泊まっていって。そんな身体じゃ、まともに飛ぶことだってできないでしょ?」
「そこまで世話になる訳にはいかぬ。」
「何言ってるの?ボク達もう友達じゃないか。友達なら助け合うのが当然だろ?」

にっこりとスカーに笑いかけるアルフォンス。
慌てたのはエドワードの方だ。

「おい待てよ。こいつ、どこで寝かせるんだ?客室なんてねえぞ。」
「大丈夫だよ。ボクのベットに寝てもらうから。」
「なっ?!」

驚いて目をまたたかせたのはスカーの方だった。
昨夜、あんな事をしたというのに一緒のベッドで寝ようというのか?
エドワードの方もその提案に、パクパクと声にならない抗議の声を上げていた。
友達だとはいえ、気が変わって大事な弟が喰われてしまうかもしれないと心配だからだ。
(別の意味で喰われているとも知らずに…)
しかし、当の本人アルフォンスは涼しい顔をしている。

「さて、そうと決まれば今ベッドを用意してくるね。」

軽いステップで自室へと消えていった。
盛大に吊り上がった目をスカーに向けるエドワード。

「…オレはお前がアルをさらった事、忘れてねえからな。」
「ああ、わかっている。」

余裕のない表情でエドワードはスカーを睨む。
弟を取られてしまった様な感覚を持ったからだ。
それに対してスカーは、少し微笑んだ。
自分に対して兄と同様に、いや兄以上にアルフォンスが心を寄せはじめているのかもと思ったからだ。
でなければ、あんな事をした自分と寝台を一緒にしようなどと思う訳がない。
クルクルとよく変化する表情が、自分に向けて微笑んだだけでスカーは嬉しくなる。
ギリギリと歯ぎしりして、エドワードはまだスカーを睨んでいた。
そんな二人のやり取りを知らないアルフォンスが戻ってきた。

「スカーさん、ベッドの準備が出来たよ。ゆっくり休んでね。」
「ああ、すまない。では、言葉に甘える事にしよう。」

すっと立ち上がりアルフォンスに寝室に連れて行かれる。
部屋に入ると、本がたくさんありキレイに整頓されていた。

「そのベッドで寝て。シーツは代えたから。」
「…ああ。」
「じゃあ、おやすみなさい。」

にっこりと笑ってアルフォンスはパタリと扉を閉めた。
気が付けばひとり部屋に残されたスカー。

「…いや…解っていた…。」

そう独り言を言ってスカーはアルフォンスのベッドへと崩れるように潜った…。

 

「兄さん、一緒に寝ようか?」
「お、おうっ!」

にんまりと上機嫌のエドワードの顔は勝ち誇っていた。



霧島かってにその翌日の朝の様子なんか描いてみました。
なんか、スカーさん可哀想なんで …

ますますエドアルサイトから遠ざかっていくうちのサイト
…それはそれでよしッ!