「サニーサイド」のあっちょんさんからいただいたお中元

「お帰りなさい」

 

「肝心な事を言い忘れていた。ありがとう、助かった」

「はいっ!」

満面の笑みで返事をされて、そのあまりの表情に不覚にもスカーの胸がどきりとした。
ガチャンと重い扉が閉まると、そのあとを追いかけるようにしゃかしゃかと何匹かの猫が爪でひっかいている。
ニャンと鳴いて、扉を開けてアルフォンスを追いかけたいのだろう。

「名残惜しいのか、お前たちも…」

車の音がして、迎えに来たのだと思った。
しばらく扉の鍵をかけられずに、猫たちと玄関から離れられない自分がいる。
なぜかまた開かれるのではないかと、閉めかねていたのだ。

「これじゃ帰宅を待つ猫らと変わらないではないか」

軽く頭を振り、鍵に手をかけた。
こんな風に誰かに迎えられたのはいつ振りだろう。
兄と暮らしていた頃でも、歳が離れていた為に帰宅は自分の方が早かったから、思い出せないほどだった。
猫のようなアルフォンスだが、やはり猫とは違う。
そして、誰かが待つ家に帰るのが悪くないと思う自分もいて、これも兄の思惑通りなのだろう。
ガチャリと無機質な音をたてて、錠をかける。

「お前たち、部屋に戻るぞ」

そこには、アルフォンスの残り香を探すようにウロウロする猫たちを優しい瞳で見つめているスカーがいた。

※その後、『猫のお世話代』名義の請求書が兄から届くのだった。
 もちろん、アルフォンスのバイト代立て替え費用(エプロン代も含む)として・・・。

 

おまけ