「サニーサイド」のあっちょんさんからいただいたお中元
「お帰りなさい」
よく煮込まれたシチューは美味しかった。
そうか、アルフォンスはこの猫どもと一緒なのだなと感じた。勝手気ままにこちらの都合など考えずに懐かれる。何をもの好きなと思う。こんな無骨で強面の男にじゃれつこうなどと、誰も自分さえも思わないからだ。
かまった所で、見返りもないし楽しくもないだろう。なのに何故。
考えの行きつく先は『だたのもの好き』なのだろう。
全てを食べ終えると食事の礼を言って皿を片付けようとした。
するとアルフォンスに止められる。
「ボクが片付けますから、先生はトランクの整理をされた方がいいですよ。父さんもすぐにしなくて母さんが困っていることがあるから」
「しかし・・・」
「食器を片したら帰ります。だからいる内にやってください」
確かに猫どもに邪魔されながら片づけをするよりも、断然早く終わるし苦労もない。
仕方なく甘えさせてもらう事にした。
一通りトランクの中を空にしてリビングに戻る。
アルフォンスの姿が無かったので探すと、洗面所にいた。
「洗濯はどうしますか?朝に仕上がるようにセットしておきますか?」
「…ああ、朝にしておこう」
「じゃあ、タイマーかけておきますからあとはお願いします」
そいういうと猫のエプロンを外して、洗濯機へと入れた。
「エルリック、そのエプロンは…」
「ずいぶん可愛らしいエプロンですね。先生のだから使ってくれとお兄さんに渡されました。…ふふ、こういうのが趣味なんですね」
「…あ、兄者…」
大笑いしている兄の顔が思い浮かび、スカーはフルフルと震えた。
あとから『お前の好みのエプロンだったろ?可愛いお出迎えで嬉しかったなら、早く結婚しろ』と兄からのメッセージが送られてきたスマートフォンを投げた事をアルフォンスは知らない。