月花

桜の木の下真っ白な月を見ていたら海江田は月のようだと思った。
そして、あの事件のあと深町は海江田に連れて行かれてしまったのだ。
きっと深町は速水を置いて月へ帰ってしまう。
速水の気持ちは百も承知で
「すまん」
とか何とか言って。
速水は必死に深町を抱きしめて。
地上にとどめたいと願いながらも、深町をとめることなどできないと心のどこかで知っていて。
白い月の下で舞い散る花びらの中、残された制服を一人かき抱くのかもしれない。

速水が花なら海江田は月
地上にあるときは花が寄り添い、天上では月が照らす
深町め、いい思いしてるなぁ、思わず憎らしくなってきた。
嫌みを言わせてもらうなら月は日ごとに欠けて姿を隠し、
花は散っていくモノなのよ。そこんとこわかってるのかなぁ。

花が散る前に迎えに行ってやれよ…